春の皇后―小説・明治天皇と昭憲さま

けっこう天皇家ものを書いている作家のこれは小説です。なかなか良いムードの内容ではあります。しかし事実は小説より・・・・・・

キヨッソーネの肖像画は、天皇と共に明治という時代のシンボルであった美子皇后の姿を描いているようで、ちょっと近寄りがたい「皇后陛下」である。しかし、ここに書かれている「皇后さん」のなんと人間的なことか。世継ぎを儲けるということが、至上命題の皇后にとって、実子をもてなかったことの苦しみと、それを昇華させていく過程がよく描かれている。全編で使用されている御所ことばもいい雰囲気を作っている。ドナルド・キーンの「明治天皇」とあわせて読むことをお勧めする。


勝海舟

勝海舟の生涯を書いた小説。なかなか読みやすく仕上げられており、少年期から晩年に至るまで、様々なエピソードが語られる。やはり彼の生涯自体が小説の題材になるほど興味深いものであったことは疑いの余地がなく、淡々とした表現が彼の人生を語るにふさわしい。


ツングリ! 本当はツンデレなグリム童話

といいつつ買ってしまう恐ろしさ。この本はそこはかとなくエロなイラストと「ぶほっw」となる小説の組み合わせがイイ感じ。


道長の冒険

心が洗われるような小説だったと思います。道長と、今回は道長に随行する従者とのやりとりがとても微笑ましくて安心して読んでいられました。裏切りという言葉はこの小説の中では無縁です。それに、道長の誠実一徹なる態度、敵方の邪心までも綺麗に浄化させてしまうなど読んでいて本当に心洗われました。最後に、道長と、捜し求めていた人とは永遠のお別れを迎えてしまうのですが、最初は何故?と受け入れがたかったのですが壮大なこの小説の締めくくりとしては適当だったのかなと納得しかけています。


小説 奥の細道

渋い小説です。読み終わったあと「う~ん」とうなります。それ以上は上手く説明できないけど是非読んでみてください。 おすすめです。


勝手にしやがれ〈上〉

このドラマは名作ですが、この小説ははっきり言って最悪です。著者は原作やシナリオからこの小説を書いたのではなく、ドラマを見てそこから小説を書いている点で、韓国語もわからないのにこの小説を書くこと自体、まずこの著者を選択した意味がわからない。小説家ならともかく、まったく畑の違う分野の人間が、興味本位で手を出さないでほしい。小説とは思えない文章からして、元のドラマを冒涜しているとしか思えない。ドラマは見る価値はあるが、この小説は読む価値無し!


ファイナルファンタジー11~賢者の遺言 下 (3)

ファイナルファンタジー11の小説 シリーズ21作目です!!今回は(上)から続いて アル&イーリス編です。絶体絶命のペタを救うため船で進むアル達向かう間 マックスから語られるイーリスの両親たちとの旅話シェラのフウカ&ライガンによって被った苦労話もありますよw果たしてアル達は無事にペタを助け出せるのでしょうか!?ゲームをやったことの無い人でも楽しめる分かりやすい小説です!賢者たちの遺言(上)もオススメです*


エリアーデ幻想小説全集〈第1巻〉1936‐1955

 世界的に有名な宗教学者のエリアーデは、母国語のルーマニア語で小説を書く小説家でもあった。自伝的な恋愛小説の「マイトレイ」や「妖精たちの夜」は、いわゆるリアリズム作品であるが、エリアーデはその他に幻想小説の名品を数々残している。 この第1巻では、すでに邦訳が出版されている「令嬢クリスティナ」や、「ホーニヒベルガー博士」「セランポーレの夜」のほかに、未訳であった「大物」や「大尉の娘」といった短編小説が収められている。 少々値段ははるが、単行本2冊プラス短編集を買ったと思えば、納得できなくもない。何といったって、ひと筋縄ではいかないエリアーデの未訳出小説が読めるのはここだけである。沼野充義の解説も詳しくていい。次に発売予定の第2巻も楽しみだ。


短篇小説講義

 まず、著者が気に入った短編小説6編を分析している。いずれも個性豊かな作品でおもしろい。ちなみに「アウル・クリーク橋の一事件」を書いたアンブロウズ・ビアスは「悪魔の辞典」の著者でもある。 筒井康隆は語る:「これらは独特な形式も技法も、ただその短編小説だけにしか通用しないと言う短編小説。・・・それがぼくの理想である。」次に、ドタバタ小説の例としてローソン「爆弾犬」を解析している。私は著者の「富豪刑事」が好きだが、博覧強記ぶりと読む深さには「さすが」と思った。

1990年第1刷。「短篇小説の現況」「新たな短篇小説に向けて」で短篇小説の講義を、その他の章で岩波収録作品を特に形式に留意しながら取り上げ批評している。「小説というのは、いうまでもなく、何を、どのように書いてもいい自由な文学形式なのだ」この一文でもう何もいうことはない。しびれてしまった。初読の時、虚構バンザイという気持ちになって興奮したことを覚えている。岩波文庫を二百冊読破したことや結末まで考えて書き出す執筆姿勢なども読みとれる。小説を読み、書くことが好きなすべての人におすすめ。余談だが、カバーなどのコピーに「噂の「文学部唯野教授」が大上段に語る」と書いてますけど別に唯野教授の文体で書いているわけではありませんのでご注意のほどを(p192に近著として触れていただけ)。


痴情小説

「痴情小説」というより「痴狂小説」という感じひたすら心より身体って感じでしたセックスに溺れているけど、皆幸福そうでない相手の人格でなく、身体だけに狂う痴情はどこかもの悲しいその悲しさ、侘しさが岡山弁で描く事で怪しくはなってくるんですがこんなに沢山の短編は多すぎです

ポルノとも官能小説とも違う。やはり痴情小説なのだろうか。美しいタイトルとは正反対のねっとりとした汗ばみや、反対にカサカサとした情景が浮かぶ小説。たまにはさまれる岡山弁も効果的。しかしいささか同じような話ばかりで途中で飽きた。最後の2編が秀作だったので締まったが、ダラダラとした感は否めない。それでも読ませるのは著者の文章力による。本当にこの人は文章がうまい。言葉を3回重ねる文体でここまで成功しているのは、珍しい。三段重ねの言葉に絡め取られてその世界に誘われる。


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