スプリング・ソナタ

全然知らない作品でしたが、たまたま近所の図書館で見つけ、パラパラとページをめくるうちに、面白くて止まらなくなり・・・手元に置いて、何度も読み返したくなり、購入しました。「胎児」が天才バイオリニストであり(!)、物語の語り手、という、とてつもない発想を、確かな筆力でぐいぐいと展開していきます。加えて、母と娘の相克が、今まで読んだどの小説よりもリアルに描かれていて、読んでいる間、100回ぐらいうなずいていたんじゃないかと思います。日本ではほとんど知られていない人ですが、小説の面白さをここまで味あわせてくれる作家はめったにいないと思います。小説好きな人には絶対に読んで欲しい!生涯のベスト10に入る作品です。


金田一少年の事件簿〈2〉幽霊客船殺人事件

小説もおもしろいですよ。漫画だとあんまり犯人とか考えたことがなかった私が犯人を当ててしまいました!!小説のほうが冷静になれるんですよ、きっと。いろんな所に伏線が張り巡らされてて事件とつながってないようでつながってるんです。だから、読み出すと止まらなくなっちゃうんですね。


西海道談綺〈4〉

清張氏の大伝奇小説も当4巻を持って、いよいよ円団を迎えます。推理小説的要素も大きい小説ですので、あらすじは書けませんが、「幕府に隠れて金山を支配している謎の黒幕は誰か」「山伏軍団と犬神軍団の神仏の呪術争いは」「主人公と主人公を追っかけてきた恋人とは無事結ばれるのか」等々の謎が全て明らかになります。あとがきで著者自身が述べているのですが、この雄大なストーリーは、ほんの少しの史実(=これも種明かしになるので書けません)を、つなぎあわせてみただけとの事。それだけで、この伝記、ミステリ、恋愛の要素を併せ持った大長編が出来上がるとは著者のストーリーテラー振りに驚かされます。どんでん返しに次ぐ、どんでん返しで、一旦、読み始めると止まらなくなる面白さを持った小説です。


大坂堂島米会所物語

相場のノウハウを記した本ではありません。これを読むことでチャートを見る目が変わるとか、相場テクニックが上昇することを期待しているのでしたら時間の無駄かもしれません。ただ、世界初の相場システムを作り上げていく過程での、市場を守ろうとする者、値動きを我が物にして大もうけをしようとする者の丁丁発止のやり取りを、刀傷沙汰の伏線ともうまく絡めて、非常にエンターテイメント性の高い小説に仕上げてあります。相場に臨む人間の欲をバックグランウンドとする心理は現在も何ら変化していないと思いますので、その面では、相場にかかわっている方が読まれても非常に面白いと思います。


ふぶけども

東京新聞の書評に「今年最高の一冊!」とあったので,購入してみました.宗教を軸に,すさまじくも美しい恋愛観,人間の存在理由,といった大変深いテーマにまで及び,ラストは感動の涙が止まらなかった.壮大な一冊.この本に出会えたことに感謝したい.


夜は満ちる

小池作品の短編は面白い。さらっと読めて手軽だけど、ちゃんとしたオチがある。旅行用に2冊ほど購入して機内で読みましたが、これはちょっと怖かったので・・・途中で止めちゃいました(笑)出張先のホテルの部屋で読むのも怖いです。こう来るか〜なるほど、と思わせる作品と、やっぱりこうだったか、と思わざるを得ない作品と極端なところもありますが、やっぱり面白いことには違いなく、小池作品は見逃せません。


笑劇―SFバカ本カタストロフィ集 (小学館文庫)

SFバカ本のすばらしさはもう語り尽くせない。 でもこの本は、深夜に読むべきだ。あの自分の脳が寝てるのか寝てないのかよくわからない状態で読むと、ニヤニヤが止まらなくなる。岬兄吾、本当に最高!


はみ出し銀行マンの銀行消滅

これは、いつものはみ出しシリーズとちょっと違って、長編小説の形をとってます。でも、それが泣かせるんです。作家として文章がうまいのも特筆もの。ラストはいいですよ。多摩川の土手で、もう最高でした。またぜひ、こんな小説、書いて欲しいな。

この本の発売、以後も破綻続きの世の中ですよね。とっても深刻な話しをスイスイ、読みやすく作られた、一冊、ですよね。不景気なだけに、本は楽しく読みたいものです。

止まらなくなった。普通は売上が悪くて閉店するものなのに こんな理由で黒字店が消滅するなんて。上司の耳が聞こえなくなってしまったところはちょっと涙ぐんでしまった。部下には憎まれ役をやりながらものすごいストレスを感じていたんだなと。そんな中でも秋の気配や年末年始の季節も手にとるように感じる。おもしろかったです。


公子曹植の恋

曹植が主人公なら側近NO1の楊脩徳祖が大活躍すると思って読んだが、やっぱり私が甘かったです。楊脩はたった数行しか登場しません。ひたすら曹植の恋心が語られる小説です。楊脩処刑後に、曹植が楊脩の言うことを聞いて兄と戦って自分が皇帝になるべきだったかと後悔するのが哀れである。誰か楊脩が大活躍する公子曹植の野望って書かないかしら?

まあ、純愛といえば純愛なんだけど、義姉に対する止めようのない恋情と言うには物足りない描写が続くので、面白くない。苦悩を詩作に昇華するということを美しく描きすぎている。また、透明でとらえどころのない存在のように描かれていまいち心情がよく分からないヒロインにも魅力がない。さらに皇帝である兄も単なる憎まれ役になっていてそこに人間味がない。中国史を舞台にしたハーレクインのような感じ。


ちいさな天使とデンジャラス・パイ

読みすすんでいくうちに、涙が止まらなくなりました。すごく重たいテーマだけれど、主人公の語り口が明るくてさわやかなので、ぐいぐい読んでいけました。でも、胸にぐっとくる場面がいくつもあって……5歳のジェフリー、おにいちゃん、それにまわりの人たちのあたたかさややさしさが、とっても嬉しかった。人間って、けっこういいもんだなと思えた小説はひさしぶり。うちの息子はまだまだ小さいけれど、将来、このおにいちゃんみたいな少年になってほしいと思ったし、この本が読めるような年になったら、絶対読ませたいです。


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